労務費の内訳見積

建設業の見積書の法定福利費|内訳に入れる範囲と計算の例

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建設業の見積書では、法定福利費を総額に埋もれさせず、内訳として明示することが求められるようになっています。国土交通省の見積書の様式例でも、法定福利費(事業主負担分)は、材料費・労務費・建退共掛金・安全衛生経費と並ぶ「内訳明示する経費」の1つです。この記事では、どの保険料のどの部分を入れるのか、どう計算するのかを、国の書き方ガイドに沿って整理します。

法定福利費(事業主負担分)に入るもの

書き方ガイドでは、法定福利費(事業主負担分)を、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険料のうち、現場労働者の事業主負担分としています。本人負担分は労務費の側に入ります。保険ごとの分け方は次のとおりです。

保険料事業主負担分本人負担分
健康保険料法定福利費労務費
介護保険料法定福利費労務費
厚生年金保険料法定福利費労務費
子ども・子育て拠出金法定福利費(事業主が全額負担)なし
雇用保険料法定福利費労務費
労災保険料事業主が全額負担なし

労災保険については、専門工事業者が元請として工事を請け負う場合に、別途、加入に必要な費用の計上が必要とされています。再下請をする場合は、再下請先の労働者の分も計上したうえで、再下請業者に適切に支払うことが必要です。

また、国土交通省は、公共工事設計労務単価には事業主が負担すべき人件費(必要経費分)は含まれていない、と案内しています。労務単価をもとに労務費を出したときは、法定福利費を別に積む必要がある、ということです。

計算は「労務費×料率」

様式例では、法定福利費を「労務費×料率の合計」として計算します(事業主負担分のみが対象)。料率は、自社が実際に加入している保険のものを調べて入れます。

  • 雇用保険:事業の種類ごとに事業主負担分・労働者負担分の料率が定められているので、「建設の事業」の料率を参考にします。厚生労働省のウェブサイトから入手できます。
  • 健康保険・介護保険:加入している協会けんぽ(全国健康保険協会)や健康保険組合の料率を使います。協会けんぽの健康保険の料率は、都道府県単位で定められています。
  • 厚生年金保険・子ども・子育て拠出金:日本年金機構のウェブサイト等に記載されている保険料額表などで確かめます。厚生年金基金に加入している場合は、その基金から料率を入手します。

計算の例(料率と金額はすべて説明用の仮の数値です)

ある工事の労務費が 2,000,000円 で、自社で調べた事業主負担分の料率が、雇用保険 1.0%、健康保険 5.0%、介護保険 0.8%、厚生年金保険 9.0%、子ども・子育て拠出金 0.4%、子ども・子育て支援金 0.1% だったとします。

料率の合計は 1.0 + 5.0 + 0.8 + 9.0 + 0.4 + 0.1 = 16.3% です。

法定福利費 = 2,000,000円 × 16.3% = 326,000円。見積書では、この額を労務費とは別の行に書きます。

実際の料率は、加入している保険と年度によって違います。必ず最新の料率を調べて計算してください。

子ども・子育て支援金も法定福利費に含める

国土交通省の資料(別紙05)では、令和8年度から子ども・子育て支援金が健康保険料と合わせて徴収されるため、法定福利費に含めるよう案内しています。詳細版の様式例を使う場合は、法定福利費の明細書に子ども・子育て支援金の項目を追加し、独自の様式で見積書を作る場合も、同じように法定福利費の中に含めるよう求めています。

同じ資料では、令和8年度の一律の支援金率は0.23%(うち事業主負担分はその半分)とされています。ただし、各年度で変わる可能性があるため、最新の支援金率は、こども家庭庁のウェブサイト等に記載されているものを使うよう案内されています。

見積段階で迷いやすい3つの点

1. 介護保険の対象者

介護保険の対象者は、基本的に40歳から64歳までの方です。ただ、見積段階で40歳以上の現場労働者の割合を工事ごとに把握するのは難しいため、書き方ガイドでは、見積段階では全ての現場作業員の加入を前提として、介護保険の費用を内訳明示の対象とするよう示しています。

2. 保険に加入していない技能者

一人親方など、法令上の加入義務の対象とならない技能者(いわゆる適用除外の技能者)については、法定福利費の事業主負担額が発生しないため、内訳明示する法定福利費から除外する必要があります。ただし、見積段階で把握するのは実務上難しいことから、見積段階では、従事する全ての現場作業員が保険に加入していることを前提として内訳明示し、その後、元請負人(直近上位の注文者)と協議して最終的な金額を決めるよう示されています。

3. 再下請先の分

再下請をする場合は、再下請先の労働者の分の法定福利費も計上したうえで、再下請業者に適切に支払うことが必要です。

見積書に法定福利費を入れる手順

  1. 作業ごとの労務費を先に確定させます。
  2. 加入している保険ごとに、事業主負担分の料率を最新の資料で調べます。
  3. 子ども・子育て支援金の行を足し、支援金率の事業主負担分を入れます。
  4. 労務費×料率で保険ごとの金額を出し、合計を法定福利費として鑑に書きます。
  5. 適用除外の技能者がいる場合は、注文者と協議して最終の金額を決めます。

料率や対象者の扱いは、加入している保険や個々の契約によって変わります。判断に迷うときは、加入先の保険者や専門家に確認してください。

よくある質問

見積書の法定福利費には、どの保険料が入りますか?

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険料のうち、現場労働者の事業主負担分です。本人負担分は労務費の側に入ります。

法定福利費はどう計算しますか?

様式例では、労務費×料率の合計として計算します。料率は、自社が加入している保険のものを調べて入れます。

子ども・子育て支援金は法定福利費に入れますか?

国土交通省の資料では、令和8年度から健康保険料と合わせて徴収されるため、法定福利費に含めるよう案内しています。令和8年度の一律の支援金率は0.23%(うち事業主負担分はその半分)とされていますが、最新の率はこども家庭庁のウェブサイト等で確かめるよう案内されています。

介護保険の対象者が分からないときは?

書き方ガイドでは、見積段階では全ての現場作業員の加入を前提として、介護保険の費用を内訳明示の対象とするよう示しています。

保険に入っていない技能者がいる場合は?

適用除外の技能者は事業主負担額が発生しないため除外が必要ですが、見積段階では全員の加入を前提として内訳明示し、その後、元請負人と協議して最終的な金額を決めるよう示されています。

出典

出典の確認日:2026年10月13日

この記事は、国土交通省の公表資料をもとにした一般的な情報です。個別の見積りや契約が法令に照らしてどうかの判断は含みません。制度や基準値は改定されることがあるため、最新の内容は国土交通省の資料でご確認ください。

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